top of page

ペネムズの1stアルバム発売に寄せて

日常の中に「なんだか映画みたいだな」と思える瞬間がある。 そういう時はたいてい光か音が関わっているような気がする。 例えば今日のこと。 いつも朝起きると3か月の娘を抱え、寝室を出て階段を下りて1階の居間へ行く。 階段の高い位置に窓があり、光が射し込んできている。 なぜか今日はいつもよりずっと長く光が射し込んできていて明るかった。 なんとなく映画みたいだな、と思ったのだ。 さらに今日のこと。 朝、出掛ける時に玄関で「行ってきまーす」と言い終わった瞬間、 コンポから流れるビートルズの「Free As a Bird」をキセルが歌い出した時。 あれ、映画っぽいぞと感じたのだった。 ちょっと話がずれるけど、僕はレコードの「パチッ・・・ チッ・・・」というノイズが好きだ。 8mm映写機のリールが回転する「カラカラカラカラ・・・」という音も好きだ。 なぜ好きなのか今まで考えたこともなかったけど、なんとなく今日分かったような気がする。 それはたぶん時間を刻んでいる音だからだ。 でも時計の音とはちょと違う。時計の音は好きでも嫌いでもない。 レコードも映写機のリールも時計もぐるぐる回る。 太陽も月も星もぐるぐる回る。 正確には太陽の周りを地球が回転しながら、 僕らのいる地球自体も地軸を中心に回っているらしいけど、 宇宙の回転はゆっくりすぎてなかなか回っていることを実感できない。 俯瞰で眺めた天体モデルの映像の早回しや、 写真のバルブ撮影で星々の軌道が線になったものを見る時に、 宇宙も回転しているんだなというイメージを初めて掴めるんじゃないだろうか。 レコードと映写機は終わると回転をやめる。 レコードの裏面を聞きたければひっくり返してもう一度回転させるだろう。 たぶんポイントは「始める時には誰かが回転させなければならない」というところじゃないだろうか。 宇宙の回転はゆっくりすぎて僕らにはなかなか掴めないし、始めたり終わらせたりできる規模じゃない。 時計は電池の寿命がけっこう長いから、回転の始まりや終わりを感じるにはスパンが長すぎる。 宇宙と時計の回転は日常の中で、これといって意識しないレベルで空気の様に僕らを包んでいるものだ。 もちろん、何日の何時にあの約束というようなことは意識するだろうけど、

時計の針が回転していることそのものは特に意識しないだろう。 そう考えると大きな回転の中にも回転があって、 さらにその中にも無数の回転が・・・と、続いていくというわけだなぁ。 地球の回転が地軸を中心にしているように、 レコードや映写機のリールにも「回転の軸」があるだろう。 物理的にはレコードやリールの中心の穴にはまる再生機器のでっぱりだ。 でも僕にはその軸が「回転させる誰か」であるような気がしてならない。 「始める時には誰かが回転させなければならない」のだから。 また話がずれるけど、昨日は「ペンネンネンネンネン・ネネムズ」のファーストアルバムの発売日だった。 僕の友人のバンドで大好きなグループだ。 CDのタイトルは「東京の夜はネオンサインがいっぱいだから独りで歩いていてもなんか楽しい」。 繋げて言うと「ペンネンネンネンネン・ネネムズ」の「東京の夜はネオンサインがいっぱいだから独りで歩いていてもなんか楽しい」。 長い。なんて長いんだ。合せて49文字。

よし、話を戻そう。戻すと言ってもずれた後のポイントに。 なんとなくレコードの回転は、回転する前から既に回転し始めているような気がする。 というのは、意識的であれ無意識的であれ、必然であれ偶然であれ、 その音楽を聞こうと思うに至る理由というか経過があるからだ。 たまたま再生したのかもしれない。なんとなくそういう気分だったのかもしれない。 明確な理由があるのかもしれない。 でも意識しないレベルの無数の条件も含まれて重なって聞くに至るのだと思う。 たまたま時間ができたとか。この料理にはこの音楽が合いそうだとか。 面白いTVがやっていないだとか。 そういう意味で、それを聞くに至る経過も含めて回転する前から既に回転し始めているような気がするというわけだ。 また話がずれるけど、ずれるといってもずれた後のポイントに戻そう。 昨日は「ペンネンネンネンネン・ネネムズ」のファーストアルバムの発売日だった。 時間があればHPを覗いて見てほしいと思う。 アルバムのダイジェストも試聴できるし、タイトルナンバーのPVも見られる。 PVは僕が作ったものだ。 そして気に入ってもらえたらアルバムを買ってもらいたいし、ライブも見に行ってほしい。 アルバムは全国流通をしていてタワレコやディスクユニオンでも買えるし、amazonでも買えるそうだ。 amazonからmp3のダウンロード購入もできるらしい。

ペンネンネンネンネン・ネネムズ HP http://www.pen-nenems.com/ なぜこんなに長い文章を書いたかと言うと、 「ペンネンネンネンネン・ネネムズ」の「東京の夜はネオンサインがいっぱいだから独りで歩いていてもなんか楽しい」というアルバムの完成を讃えたかったからだ。 バンド名とアルバム名の長さに負けないぐらいの長い文章で。 讃えたい。讃えたいぞ。 僕の友人は、彼らは彼らの時間を捉え、新しい回転を始めたのだ。 そしてその回転は聞く人の日常に新しい回転を生むのだ。 最後に、こんなに長い文章を読んでくれてどうもありがとう。 数人くらいは最後まで読んでくれているといいのだけど。 長い文章を最後まで読むのって大変だからね。 でももし最後まで読んでくれたのなら、もう既に音楽は始まっているのかもしれないよ。

特集記事
タグから検索
まだタグはありません。
アーカイブ
bottom of page