じゃんけんに勝つコツ
- 山本鷹生
- 2月17日
- 読了時間: 4分
昨年、娘の小学校の卒業式で保護者代表挨拶を頼まれた。
誰もやってくれる人がいなかったようだ。
それならと引き受けたが、さて何を話そう。
そうだ。「じゃんけんに勝つコツ」について話してみよう。
勝ち負けよりも過程を重要視する教育の世界。
はっきり言って勝ち負けなんてどうでもいいと僕は思う。
ではあえて「じゃんけん」という勝ち負けのはっきりとした、
運ゲーのコツについて考えてみよう。
(「グー」「チョキ」「パー」の統計調査における勝率は既に研究されているようなので避けた。)
というわけで以下の文章を保護者代表挨拶で述べたのだった。
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令和五年度卒業式 保護者代表挨拶
びゅうびゅうと強い春風が吹く日が続き、空に凧を揚げたらどんなに高く飛ぶかと想像するこの頃です。吹き抜ける風のように、子供達はあっという間に六年生になってしまいました。
大きなランドセルを背負って、歩幅小さく歩いていた子供達。時には石につまずき転んだ事もあったでしょう。石に勝つのは紙ですね。ノートにたくさんの字を書いて勉強したことでしょう。紙に勝つのは、ハサミです。図工の時間にはたくさんの工作を作り、大空に舞う凧のように想像力をはためかせたことでしょう。ハサミに勝つのは石ですね。自分はこういう人間でありたい、そんな意志が芽生え始めたでしょうか。
さて、六年生は小学校での生活も今日でおしまいです。おしまいであり、始まりですね。六年生の皆さん、保護者の皆さん、ご卒業おめでとうございます。子供達を温かく見守ってくださった、校長先生、教頭先生、教職員の皆様、ご来賓の皆様、地域の皆様、誠にありがとうございました。心よりお礼申し上げます。子供達は小学校での生活をきっと忘れないことでしょう。
ちょっと子供達に向けて話をしたいと思います。
このお祝いの日に、ちょっとだけ得するような話をプレゼントしたいと思います。それは「じゃんけんに勝つコツ」です。じゃんけんは運のゲームだと言われていますが、実はそれだけではありません。誰にでもできるようなコツを三つ考えました。
最初は簡単です。ひとつめは「いつも同じ手を最初に出さない事」です。いつも同じ手を最初に出していたら、相手に読まれてしまうので少し工夫が必要です。
二つめは、ある実験をしました。
ひとりは「負けたら嫌だなぁ」という気持ちで、もうひとりは「絶対に勝つぞ」という気持ちで、十回じゃんけんをしました。
結果は「絶対に勝つぞ」という気持ちの人が六回勝ち、「負けたら嫌だなぁ」という気持ちの人は四回しか勝てませんでした。どうしてこういう結果になったのか、簡単に言うと「絶対に勝つぞ」という気持ちの人は集中力が高まり、直感的な判断力が上がって勝ちやすいからだと思います。
三つめは「もし負けてもグジグジ考え過ぎない事」です。なぜなら「あー負けちゃった。嫌だなぁ。」という気持ちのままでいると、次のじゃんけんで負ける可能性が増えるからです。
では、じゃんけんで勝つ三つのコツをまとめてみます。
1、いつも同じ手を最初に出さない事
2、「絶対に勝つぞ」という気持ちでやる事
3、もし負けてもグジグジ考え過ぎない事
お風呂に先に入りたいくない時に試してみてください。
絶対にショートケーキを選びたい時にも使えます。
さて、みんな昔は子供でした。勝ったり負けたり、答えのない問題にぶつかったりしながら、気づくと大人になっていました。六年生の皆さんは新しい中学校生活への期待と不安があることでしょう。
大人にだって未来への不安はあります。でも、大人になってみて分かることは、自分が気付かないうちにたくさんの人に見守られているのだということです。楽しい思い出、悔しい思い出、何気ない日常の中で、先生や友達に見守られてきたのだと思います。校庭から見える山々のように、どっしりと見守って、見守られて、温かい気持ちが繋がっていくことを願っています。校長先生、教頭先生、教職員の皆様、ご来賓の皆様、地域の皆様、保護者の皆様、これからもよろしくお願い致します。
山本鷹生
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さて、6年生(みんな顔見知り)の反応はどうだったかというと、
僕が「じゃんけんに勝つコツ」と言った瞬間、ニヤッとした子が数名。
(この人何を言い出す気?)という笑みだったように思う。
卒業式が終わってから、10人くらいの子どもが「じゃんけんしよう!」と言ってくれた。
みんなめっちゃ気合いの入ったかけ声でじゃんけんをした。
なぜか僕が勝ちまくってしまい、みんな「あれ?コツは?」となっていた。

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